外国人移民を小売業から締め出し



 ロシアで新たな移民法が施行され、3月31日から外国人は小売業や、食品マーケットでの仕事が禁止されるよう になった。
 現在ロシアに入国している移民は、約1000万人以上いるが、その多くは旧ソ連時代の各共和国から故国の貧困 を逃れて、ロシアに入国しているケースが最も多く、中央アジアやコーカサス方面からの流入者が多くいる。
 そのほかには、中国人や北朝鮮などからの入国も多く、また不法入国者も相当いて、昨年だけでも移民法違反 で150万件の民事訴訟が起こされ、約9万人の不法移民者を本国に送還している。
 禁止されるのは小売業と青空市場に限定されており、今年3月までは小 売行商の外国人労働者を40%までは認めていたが、4月以降外国人は全国 で小売業での労働を禁じられている。
 外国人の行商人には組合などはなく、抵抗のしようがない。
 そのために現在モスクワからウラジオストクに向かうシベリア鉄道は、引き 上げてくる中国人や北朝鮮人たちであふれかえっている。
 
 こういった措置は自由貿易に抵触するとして批判する経済専門家もいる が、ロシア政府は、不法移民の不法労働による納税不払いで、国は年間90億 ドルの損失を負っていることを明らかにしている。

 また不法移民者が増えることにより、犯罪も増え治安悪化につながると いう側面も持っている。

 いまのところ労働が禁止されたのは、小売業や食品マーケットでの仕事 であり、安価な労働力として好況のロシア建設業界等での仕事をすることに は問題がない。
 どちらかと言えば、ロシア人が嫌がるような仕事は、ロシアと査証免除協定を結んでいる旧ソ連共和国の移民に 対して、簡略化した手続きだけで労働許可の交付を与えている。
 
 また国営世論調査機関が、小売業における外国人の排斥に、75%の人たちが賛成しており、反対しているのは1 8%だけだった。
 この法律は不法移民の流入を抑え、ロシアの農民等への雇用創出などが期待されている
 市場から移民を撤去すると、ロシアの低所得層が一番の影響を受けるの ではないだろうか、移民者たちの青空市場は、通常のスーパーなどより20 から30%近く安かった。
 逆に考えれば一番得をするのは、こういったロシア人経営のスーパーや ショッピングセンターになってくる。

 ロシア下院は、不法移民を雇用する、雇用主に対する罰金を引き上げる法 案をすでに全会一致で可決した。